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『Indian Fairy Tales』ラージャの息子とラバム姫:第八話

最終話:試練と勝利

朝になり、姫は両親の前に進み出ました。
「お父様、お母様。素晴らしい王子様が私たちの国においでです。私、その方と結婚させていただきたいのです」

王妃がこの話を王に伝えると、王は厳しい表情を浮かべながら答えました。
「よかろう。しかし、私には条件がある」

王は椅子から立ち上がり、ゆっくりと続けます。
「この王子が私の出す課題をすべてクリアできれば結婚を認めよう。だが、もし失敗すれば命はないものと思え」

一方、老婆の家に戻っていた王子は、宮殿に呼び出されました。王は最初の課題を告げます。

 

第一の課題:マスタードシードの油搾り

「80ポンドのマスタードシードがある。明日の朝までに、これをすべて搾って油にせよ」

老婆は心配そうに王子に言いました。
「お逃げなさい!これまでも多くの王子様が姫との結婚を望んで挑戦されましたが、皆王様の課題を達成できず命を落としました」

しかし、王子は微笑みながら答えます。
「大丈夫です。きっと方法があるはずです」

途方に暮れる王子は、ふと蟻の王との約束を思い出しました。
(そうだ、あの時の蟻たちなら...!)

すると、蟻の王が大勢の部下を連れて現れました。
「どうして悲しそうな顔をしているのですか?」

王子が事情を説明すると、蟻の王は快く引き受けてくれました。
「心配はいりません。私たちに任せて、ゆっくり休んでいてください」

王子が眠りについている間、無数の蟻たちが懸命に働き、夜が明ける頃には見事にすべての油を搾り終えていました。

 

第二の課題:魔物との戦い

しかし、王はまだ満足せず、次の課題を出します。
「次は私の飼っている二匹の魔物と戦え。この魔物たちは私も手を焼いている。檻に入れたままにしているが、解き放てば国中の人々を食い尽くすかもしれん。倒せるものなら倒してみよ」

王子は不敵な笑みを浮かべながら、心の中で思いました。
(虎の夫婦となら...!)

思い出された虎たちはすぐに駆けつけ、王子は彼らに金と銀の豪華な装飾を施しました。
「私の代わりに魔物と戦ってくれませんか?」
「ご安心を。私たちに任せてください」

虎たちは魔物と激しい戦いを繰り広げ、ついに勝利を収めました。

 第三の課題:空の太鼓を叩く

それでも王は満足せず、次の課題を告げます。
「よかろう。では次は空高くにある私の太鼓を叩いて来い」

王子は密かに微笑みました。
(不思議なベッドがあれば...)

不思議なベッドに乗って空高く舞い上がった王子は、見事にこの課題も達成しました。

 

最後の課題:蝋の斧で木を切る

最後の試練として、王は巨大な木の幹を指さしました。
「この木を、蝋で作ったこの斧で切り倒せ」

誰が見ても不可能な課題でした。途方に暮れる王子のもとに、姫がこっそりとやって来ます。
「大丈夫よ。私の言う通りにして」

姫は自分の髪の毛を一本抜き、王子に渡しました。
「この髪を斧の刃に這わせ、『ラバム姫の命により、この髪で切れよ』と木に告げなさい」

王子が信じて言われた通りにすると、驚いたことに巨大な木は真っ二つに割れました。

 

 結婚と幸福

ついに全ての試練を乗り越えた王子に、王は満足げに頷きました。
「よかろう。姫との結婚を許可しよう」

近隣の国々から多くの王族や貴族が招かれ、7日7晩にわたって盛大な結婚式が執り行われました。
宮殿中が祝いの歓声に包まれ、美しい音楽が鳴り響きます。

数日後、王子は姫を連れて自分の国へ帰ることにしました。
ラバム姫の父は、たくさんのラクダや馬、財宝の詰まった箱、そして優秀な従者たちを持たせてくれました。

二人は立派な馬車に乗り、大きな行列を従えて王子の国を目指します。無事に王子の国に到着すると、待ちわびた両親が涙を流して二人を迎えました。

こうして王子と姫は王子の国で末永く幸せに暮らすことになりました。
王子は旅の途中で手に入れた不思議な品々─袋、器、ベッド、そして棒と縄を大切に持ち続けました。

ただし、王子の国は平和で、誰も戦いを挑んでこなかったため、棒と縄を使う機会は一度もありませんでした。それもまた、幸せなことだったのかもしれません。

~終~

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原作:Joseph Jacobs and John Dickson Batten『Indian Fairy Tales』
出典:Project Gutenberg (www.gutenberg.org)
https://www.gutenberg.org/ebooks/7128

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